このプロジェクトの主要目的は、芥川龍之介の著作の最も意義深いと見なされる断章に手を加えながら、紹介することである。その研究的プロジェクトの一つの要素としては、ブルガリアでのこの作家の文学遺産の受け入れが観察されているということである。現代のグローバルで高度に技術化された世界において優れた文学を世間に普及させることは、簡単な取り組みだとは言えない。さまざまな人文学的専門知識や活動と特定の芸術的アプローチの組み合わせでは、私たちは今の時代から隔離された文学の精神がわかることが出来、新しい感覚を身につけ、自分の世界観も広めることが出来る。このたび、私たちは芥川龍之介の作品と現代の視覚芸術の組み合わせを考えた。異なる創造的スキルの相互作用を通じて2つのレベルの感性を組み合わせたいという私たちの願いは、いまの”現代日本文学の作品から抜粋されたテキストの視聴覚の適応”というプロジェクトの提案につながった。その枠組みの中で、ソフィア大学の日本学科の博士候補であるマリア・シメオノヴァは、単独でまたは学士と修士課程のほかの学生たちと手を組みながら、働く機会を得た。プロジェクトの中心となった「雛」というストリーは博士候補であるマルチン・ペトロフによって翻訳された。そのストリーを踏まえて短い映画のシナリオが書かれた。監督はマリア・シメオノヴァであり、ほとんどの俳優たちは日本学科の学士課程の学生であった。